ジェネリック医薬品あれこれ
2024/01/03
ジェネリック医薬品あれこれ
薬剤師の水(みず)と申します。
薬学部の授業でもジェネリック医薬品について講義をしているのですが、自分でも説明することに苦労しているので、カウンター越しで手短に説明をすることがあっても、なかなかすべてを語ることが出来ていません。そこでよくある質問に答える形式でジェネリック医薬品について解説をしていきますので少しお付き合いください。
Q1 ジェネリック医薬品は何故薬価が安いの?
先発医薬品という日本国内で初めて承認された新しい成分の医薬品は、販売して10年以上経過するとその成分の特許が切れて、どのメーカーでもジェネリック医薬品として販売できるようになります。その時は通常の医薬品の製品開発に必要な条件が限定されるためにコストが掛からないというのが特徴です。
日本は海外と異なり医薬品の価格が公定価格として決められていて毎年原則引き下げられています。過度の引き下げ効果によって製造コストが利益を上回ることもあり、ジェネリックメーカーは必要以上の量の生産に消極的です。
現在ジェネリック医薬品の多くが出荷調整という流通麻痺状態になっており、薬局の在庫も正直厳しい状況です。
今まで通りの医薬品をお渡しできないのは私たち薬剤師も残念な気持ちで一杯ですので、どうぞこの状況をご理解ください。
Q2 ジェネリック医薬品のメーカーの不祥事で心配です。本当に安心ですか?
数年前の小林化工というジェネリック医薬品メーカーの不祥事が発端で、多くのジェネリック医薬品の製薬会社が製造基準について一斉点検を行いました。現在販売しているものはその点検をクリアしているモノなので安心してよいと思います。
1)日本は世界でも最も厳しい基準で製造している。
2)日本は医療用医薬品・OTC医薬品ともに偽物が出回ることが無い。
以上の点からも日本の薬局や日本の医薬品を信頼して頂けるとありがたいです。
Q3 オーソライズドジェネリック(AG)とは何ですか?
オーソライズとは「正式に認められる」ということで先発医薬品の会社が、関連の深い同業他社に特許期間中であってもその製造方法をほぼ同一の条件で許可し、販売することを認めることで他の後発品に先駆けて販売することが可能になっています。
販売名称やシート・刻印などは異なりますが形状や味は一緒なので、こだわりが強い患者にとってはありがたい存在です。
日本医師会からは、そもそもAGは必要なしで、特許が切れたら潔く後発品と同じ薬価にすれば混乱しない。と厳しい指摘を受けています。正直私もその意見には賛同しています。
皆さんはどうですか?
言葉足らずで、言い尽くせないこともありますが、皆さんのご意見も頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
水 八寿裕(みず やすひろ)薬剤師
株式会社実務薬学総合研究所 代表取締役
武蔵野大学薬学部 講師
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